量子コンピュータは実用段階に近づいている? 理研・ソフトバンクが量子×スパコンの利用を拡大

量子コンピュータって、まだ研究室の中の話だと思っていました。

以前も「量子コンピュータは本当に実需があるのか?」という記事を書いたのですが、調べれば調べるほど、少しずつ実際の利用に近づいている感じがします。

そして今日、また気になるニュースがありました。

理化学研究所とソフトバンクが共同で進める「JHPC-quantum」で、第3期テストユーザープログラムの採択結果が発表され、20件の提案が採択されたそうです。

採択分野は、素材・化学・製造・情報通信・医療など幅広く、公開されている採択先には三菱電機、中外製薬、JAXA、IHI、三井住友銀行、DICなどが含まれています。

理化学研究所:JHPC-quantum、テストユーザプログラム拡大

以前書いた量子コンピュータ株の記事はこちらです。

量子コンピュータ株はこれから伸びる?実需はあるのか調べてみた

量子コンピュータ単独ではなく「スパコンと一緒に使う」

今回特に面白いと思ったのが、量子コンピュータだけで何でも計算しようとしているわけではない点です。

JHPC-quantumでは、量子コンピュータ「黎明」とIBM Quantum System Two「ibm_kobe」に加えて、スーパーコンピュータ「富岳」、GPUスーパーコンピュータ「ROQUO」を組み合わせて使います。

つまり、通常の計算はスパコンやGPUで処理して、量子コンピュータが得意そうな部分だけ量子側へ渡す、という考え方です。

以前、量子コンピュータについて調べたときに「将来はCPU、GPU、QPUを役割分担させる形になるのでは?」と考えていたのですが、今回の取り組みはかなりそのイメージに近いです。

量子コンピュータが今のパソコンを丸ごと置き換えるというより、特殊な計算を担当するアクセラレータのような立ち位置になるのかもしれません。

創薬ではどんなことに使う?

まず分かりやすいのが創薬です。

新しい薬を作るには、分子の構造や性質、ほかの分子との相互作用などを大量に調べる必要があります。

分子レベルのシミュレーションはかなり複雑で、原子や電子の状態を細かく計算しようとすると、従来のコンピュータでは計算量が一気に増えてしまいます。

今回の採択には、中外製薬やQ-Health Technologies、Algorithmiqなどが医療・創薬分野で含まれています。

まだ「量子コンピュータで新薬がすぐ作れる」という段階ではありません。

それでも、製薬会社が実際に利用を試し始めているのは興味深いです。

材料開発との相性も良さそう

材料開発も量子コンピュータと相性が良いと期待されている分野です。

新しい電池材料、半導体材料、化学素材などを作る場合も、分子や電子の状態を計算する必要があります。

今回の採択ではDICやAlgorithmiqが材料分野で参加しています。

もし量子計算によって材料の性質をより高精度に予測できるようになれば、実際に大量の試作品を作る前に、有望な候補を絞り込める可能性があります。

AIでも新材料探索は注目されていますが、将来的には

AIで候補を探す → 量子コンピュータでシミュレーション → 実験で確認する

という流れができるかもしれません。

金融にも使える?

意外だったのが金融です。

今回、三井住友銀行も採択されています。

金融分野では、ポートフォリオ最適化やリスク計算、複雑な組み合わせ問題などが量子計算の候補として研究されています。

例えば、たくさんの金融商品の中から、条件を満たす組み合わせを探すような問題です。

こうした最適化問題は、選択肢が増えるほど急激に計算が難しくなります。

銀行が実際にテストユーザーとして参加しているのを見ると、単なる研究テーマから少し現実に近づいてきた感じがします。

製造業や宇宙分野にも

採択先には三菱電機、パナソニック系、IHI、JAXAなども含まれています。

設計・製造や自然科学の分野でも、複雑なシミュレーションや最適化などへの応用が期待されています。

量子コンピュータは「特定の用途しかない特殊な計算機」という印象もありました。

でも実際に利用を試している企業や研究機関を見ると、思っていたよりかなり幅広いですね。

「研究」から「用途探し」へ進んできた?

個人的にはここが一番気になりました。

これまでは量子コンピュータというと、「何量子ビット達成した」「新しい量子方式に成功した」といった技術的なニュースが多かった印象があります。

でも最近は、実際の企業が、自分たちの仕事に使えるのかを試す段階に少しずつ進んでいるように見えます。

技術が本当に普及するためには、性能が高いだけでは足りません。

「これを使うと仕事が速くなる」「コストが下がる」「今まで解けなかった問題が解ける」という実需が必要です。

そう考えると、今回のテストユーザープログラムはかなり大事な段階なのかもしれません。

まだ実用化したとは言えない

ただし、少し冷静に見ておきたいです。

今回の取り組みは、あくまで量子HPC連携アプリケーションを研究開発し、実用化を探るテストプログラムです。

量子コンピュータを使えば、今すぐ製薬や金融で大きな利益が出るという話ではありません。

現在の量子コンピュータには、エラーや安定性、計算規模など多くの課題があります。

だからこそ、スパコンやGPUと組み合わせるハイブリッド方式が重要になっているのでしょう。

量子コンピュータは万能ではない。

でも、特定の問題で大きな価値を出せるようになれば、それだけでも十分大きな技術です。

量子コンピュータ株を見る目も少し変わってきた

以前、量子コンピュータ関連株について調べたときは、「テーマとしては面白いけれど、まだ売上や実需は小さい」という印象でした。

今もその考えは大きく変わっていません。

ただ今回のように、製薬会社、銀行、製造業、宇宙関連などが実際に利用を試し始めているのを見ると、完全に夢物語という段階ではなくなってきたとも感じます。

もちろん投資先として見るなら、期待だけで買うのは怖いです。

それでも、実際の利用事例が増えていくなら、今後も追いかけてみたい分野です。

量子コンピュータが数年後、10年後にどこまで生活や産業に入ってくるのか。

個人的にもかなり楽しみにしています。

※本記事は特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断でお願いいたします。

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